函館
2012年12月31日
海炭市はまた新しい年を迎えます
まもなく2013年になります。
思い起こすのは、3年前。
熊切監督と、近藤撮影監督、そして函館チームの選抜メンバーが函館山を歩いて登りました。
撮影直前に、あの初日の出シーンを体感するために。
結局、猛吹雪で初日の出は見られなかったのですが、映画を作るための重要な日になったと実感したのです。
実際の撮影も、夜通し待って迎えた日の出時間は曇り空のまま・・・2日後に日の出シーンを撮影しなおしました。
年末年始は、どうしても映画製作の日々を思い起こさずにはいられません。
今年は「そこのみにて光輝く」の映画化についてお伝えしたかったのですが、来年以降に持ち越しとなってしまいました。
あらためて、映画作品を作るための様々な要素やタイミングに気づかされた年でもありました。
来年には、よいニュースを届けられますよう、天にも祈る気持ちでおります。
今夜の海炭市は、月も星もきれいに輝いております。
ああ、ここに住むあの人たちと、ここを離れたあの人たちが、幸せになりますように。
そして、皆様にとっても2013年が良い年になりますように。
これからも、末永くよろしくお願いいたします。

2012年01月12日
函館での上映を1週間延長!
現在、「海炭市叙景」を映画館で見るチャンスは、函館のシネマアイリスのみとなります。
元旦から2週間くらいの予定・・・が、好評につき更に1週間延長決定!!!
しかし、これ以上の延長はないかも。
函館にて映画を見ることができるという方は、ぜひ。
つらく、苦しく、なぜかうまくいかない事が多い毎日。
だけどかすかな光はあるのだよな、と感じていただければ幸いです。
その光を見つけられるか、下を向いたまま見つけられないのか。
スクリーンの海炭市民と一緒の時を、劇場で共有していただけますように。
明日(なんと13日の金曜)は16:20から。
14(土)から20(金)までは20:25から。
それぞれ1日1回上映、千円開放です!
http://www.cinemairis.com/schedule_top.htm
海炭市は本日の夜明け前にマイナス14度!
色々な意味で寒さが身に染みております。
「お爺ちゃんの家に帰ろうよ。
思いがけない娘の言葉が返って来た。
寒さで震えた声で、吐く息が白かった。」
(海炭市叙景「この海岸に」 / 佐藤泰志)

2011年12月31日
そしてまた、初日の出を待ちわびる時間がやってきます
あっという間に2011年の幕を閉じる日となりました。
次に日が昇れば、それは2012年の幕開けです。
海炭市の山には、ロープウェイこそ夜明け前の運行はしていませんが、初日の出を待ちわびる方々が334mの山を登ることと思います。
新しい年が、より良い年になりますように。
そして、ツイッターではお伝えしていたのですが、ブログでは触れておりませんでした。
入川保則さんが12月24日午後3時20分にお亡くなりになりました。
熊切和嘉監督、宇治田隆史脚本、加瀬亮主演の「アンテナ」に出演された入川さん。
癌の延命治療をせず、遺作と意識して作り上げた「ビターコーヒーライフ」は、2012年5月の公開を予定しています。
現時点での予告編はこちら。
http://www.youtube.com/watch?v=XKSqbI3RMSo
入川さんの生き方には、大きく心動かされました。
これまで、ありがとうございました。
安らかにお眠りください。
つらく悲しいことが多かった2011年。
来年は少しでも笑顔に変えられるよう、できることを考え、実践していきたいと思っております。
映画「海炭市叙景」に、声のみでご出演いただいた渡辺真起子さんのブログから「かもん、2012。」をご紹介させていただき、本年のブログの締めとさせていただきます。
http://gogomakimaki.blog73.fc2.com/blog-entry-1354.html#tb
2012年も、「海炭市叙景」や佐藤泰志に関する事を発信してまいります。
今年もご覧いただき、誠にありがとうございました。
ツイッターでは、色々とそれ以外のことも発信しております。
https://twitter.com/#!/kaitanshi
これからも、末永くよろしくお願いいたします。

2011年12月18日
新年から「海炭市叙景」上映します!
もういくつ寝ると。
と数えたいくらい、年末の雰囲気になってきました。
来年はより良い年になりますように。
そして!
1月1日から、函館・シネマアイリスで「海炭市叙景」の上映が決定しました!!!
やった!
函館市民映画館シネマアイリスHP
http://www.cinemairis.com/
詳細はこれから決まってくるのですが、とりあえず速報をと思いまして。
予定では、1日1回上映。
映画チケットは1,000円。
入場者数によりますが、2週間くらいの上映期間になるかと。
山頂から見る初日の出や。
雪が降り積もる街の様子や。
借りたお醤油は年明けでいいわよ、や。
この映画の世界そのものの時期です。
映画館に行くまでの道のりも、見終わって出てきたら目に飛び込んでくる景色も、すべて海炭市!
ぜひぜひご覧くださいませ。
劇場で海炭市民がお待ちしております。
あなたもその一人になるのです。
「人々は近くの見知らぬ人にも、おめでとう、と声をかけあっていた。
おめでとう、おめでとう。
誰かがわたしたちにも新年の挨拶の声を投げた。
街は一面、雪に覆われていた。
家々の屋根も通りも街路樹も。」
(「海炭市叙景」 / 佐藤泰志)

2011年12月06日
佐藤泰志を語るイベントに行ってきました!
本日、函館市文学館で当実行委の西堀滋樹事務局長が講師となった講演会が行われました。
事務局長と言うより、映画「海炭市叙景」で電車の運転手を演じたあの方!と言った方が一般的でしょうかね。
開催されたイベントは
「函館市文学館 第5回文学の夕べ『佐藤泰志の作品に見る函館の街』」
というタイトルの講演会です。
http://www.zaidan-hakodate.com/bungakukan/download/yuube5.pdf
作品の中に登場する、「函館」と表現してはいないけれど函館を描いた数々の場面を紹介し、背景などを探る内容でした。
そのほかにも、知られざるエピソード満載!
”賞を獲るため”の編集者からのアドバイスを拒否し、時には殴り合いのケンカをしたり。
実はつい先月まで、高校時代まで家族で住んでいた二軒長屋が残っていて、ほんとうについ先日取り壊されていたり。
高校2年生の時のクラスノート(生徒が自由に思ったことを書きあったノート)の中で、あきらかに年齢よりはるか上の文章を書き連ねていたり・・・そしてそれを西堀さんに朗読してもらったり。
本州と函館(北海道)をつなぐ連絡船を”自分も東京に出て一旗あげるぞ”という目線ではなく、両親が仕事のために行き来している事に想いを馳せて日々見ていたであろう事とか。
まったくもって、時間が3倍くらいほしいような内容の講演会でした!
ぜひ続編を求むっ!と語りかけようとしましたが、西堀さんはいつものシャイな笑顔で「これで一段落できるかな」なんて調子なのです。
いえいえ。
僕が許しても、あちこちからのラブコールは続くと思いますよ。
21世紀の佐藤泰志イヤーは、始まったばかりなのですから、ね。
そして、ひとつ訂正です。
以前のブログで、佐藤泰志の職業訓練校時代にお会いしてたかもって内容の事を書きました。
・・・違いました、すみません。
当時、函館にはもう1箇所、職業訓練校があって、佐藤泰志さんはそちらに通っていたのですって。
その周辺の風景は「オーバーフェンス」で描かれております。
ああ、職業訓練校が以前は2箇所にあったとは!
函館で生まれ育ちながら、本日はじめて知りました・・・不勉強な上、勝手な思い込みで失礼しました。
こうして、色んな事を日々勉強しております。
「洞窟のことだけを考えようとした。
暗い湿った部分はどこにでもあるのだ。
そんなふうにだった。
この街にも、僕らの内にも、父や母の内にも。
十五年以上ものあいだ、親父は海峡を挟んだふたつの街を真夜中の連絡船で行き来して闇米を担いで一日の生活をしのいで来た。」
(光の樹 / 佐藤泰志)
2011年11月29日
来週火曜日(12/6)に佐藤泰志を語るイベント開催
気がつけば2011年もあと1ヶ月ほどです。
去年の今頃は、函館での先行上映がスタートしたばかりの頃。
連日の大勢のお客様の姿に、ただただ感涙でした。
そして、今。
1週間後となる来週の火曜日(12/6)に、函館市文学館で佐藤泰志イベント開催です!
主催は我々ではなく、函館市文学館の主催による講演会。
佐藤泰志が函館を描いた作品の数々を紹介、その時代の函館の人々の様子も語るという内容です。
講師は、我らが「映画『海炭市叙景』製作実行委員会」の事務局長であり、映画では電車の運転手としてセリフのないシーンでもそのたたずまいで饒舌に語りかけてきたあの方!
平日夜ですが、12/6(火)18:30から、函館でのイベントに参加できるという方は、ぜひ!
函館市文学館主催
平成23年度 第5回文学の夕べ 「佐藤泰志の作品に見る函館の街」
日時 : 2011年12月6日(火) 18:30~
会場 : 函館市文学館 (北海道函館市 末広町22-5)
入場無料 ※電話で事前に参加申し込みをして下さい(電話0138-22-9014)
講師 : 西堀滋樹 (文芸同人誌「路上」編集人、映画「海炭市叙景」製作実行委員会 事務局長)
イベント詳細はこちら
http://www.zaidan-hakodate.com/bungakukan/download/yuube5.pdf
対岸の町を行きかう連絡船が出てきたり。
海峡に突き出た山があったり。
地名は出さなくても、あきらかに函館だとわかる描写が多くの作品に登場し、息づいています。
さらに深く、その世界をご堪能くださいませ。
私も、はじめて純粋に一人の観客としてイベントを楽しむ事ができると、待ち遠しい想いになっております。
「五月になると海峡中をイルカが跳ぶ。
魚雷みたいに鉛色に光って、七、八頭で群れを作って、四千トンの連絡船めがけて何回も何回もジャンプしながら近づいてくる。
海峡中のあっちこっちにイルカの群れがいくつもいくつも見える。
何百頭とイルカが跳ぶんだ。
腕でイルカが跳ぶ格好を作りながら達夫は、椅子に凭れている道子に話した。」
(移動動物園 / 佐藤泰志)
先日のDVD発売記念イベントでお披露目した、実行委メンバー中野三博による渾身の作品「シネマニラ映画祭のトロフィーを持った佐藤泰志像」です。

2009年09月14日
映画村があればいいな
あきらかに特別な何かがあると、本日わけもなく確信しました。
前々から。
定期的に素晴らしい音楽家が現れる、と音楽業界が常に注目しているという話を聞いたり。
撮影したくなる場所があちこちにある、と映像関係者が頻繁に訪れたり家を買ってしまったり。
いろんな話を聞いては来ました。
そして本日、酒井充子監督の「台湾人生」上映とトークショーで、函館の街に住んだことが大きなきっかけになっていると知りました。
漠然と感じていたけれど、ほんとなんだ。
4年しか函館に住んでいなかったけど、その間にこの方は確信したんだ。
まるで「ブルース・ブラザース」のジェイクとエルウッドのように、これだ!という光を見ることができる街なのだと、そういう光を見たのだと勝手に解釈しました。
酒井さんは、まっすぐに更に先を見ていました。
台湾の人々を、もっと深く見つめる目線でした。
「台湾人生」がこのあと多くの人々の心を揺さぶり、次の作品を待ち焦がれるようになると思いました。
函館に映画村などの撮影環境が整ったり、音楽が更に街中にあふれる展開になれば、もっともっと素晴らしいことが起きると確信した夜でした。
ただただ感謝!

2009年08月28日
ダウンタウン・トレイン
函館は車です。
歩いて10分のところより、15分かかってでも車がとめやすいところに買い物に行ったりもします。
父親はバスの運転手でした。
函館の道は、バスのルートではないところもかなり詳しく知っています。
父親の車に乗っているときは、子供心にも安心感がありました。
・・・友達のパパは運転が荒い人ばかりだった、という訳ではないのですが。
路面電車やバスに乗る時の「眠っていても行きたいところに連れて行ってくれる」という感覚は、自分で運転するようになってわかったありがたみです。
これからも、わがダウンタウンへも、変らずに未来永劫連れて行っておくれ!
電車の「ガタン」というたて揺れ、バスのカーブでくる横揺れが好きなのです。

2009年08月23日
夏の終わりは来週に
今夜はこのあと少しだけ雨になって、涼しくなるのでしょうか。
"夏は冬に憧れて、冬は夏に帰りたい"
とは言え、もうちょっとだけ夏です。
"時がとまればいい"と思ったり。
"海沿いのカーブを曲がれば夏が終わる"と気がついたり。
色々な季節の変わり目への想いはあるもの。
小説「海炭市叙景」のラストを飾る一編「しずかな若者」の主人公は、来年の夏はここにいないと知りながら、今だけのそこでの夏をしずかに味わっています。
失ったものが何であるのか、ぼんやりと考えながら。
あの想いは、佐藤泰志本人の想いだったのだろうか。

2009年08月22日
2009年08月20日
初日の出
齢を重ねるごとに1年があっという間とはいいますが、今年は特に早く感じております。
これはきっと充実しているからに違いない。
小説「海炭市叙景」は、山から見る初日の出が物語のターニングポイントになっております。
映画でも重要なシーンとして存在する事になりそう。
今年の初日の出は五稜郭タワーにて。
雲が多く、日の出の時刻から30分ほど待ってお日様があらわれました。
どんな気持ちのときも、太陽は美しいものです。
さて、映画の初日の出は、函館山からどんな風に撮影されるのか。
こんな歌を思い出しました。
"君は太陽は海から昇ると言い張り
僕は海に沈む太陽しか見たことがないよ"

2009年08月15日
産業道路と電車道路
「海炭市叙景」の主人公は街そのもの。
熊切監督が来函した際に車であちこち移動しましたら。
そしたら「全国チェーンの建物が多いと、どこの街に来てるのかわからなくなる事が多い」とおっしゃってました。
そして繁華街の裏通りなど、ふだん撮影隊がロケしないような場所へ、次々と足を運んでいたのです。
小説「海炭市叙景」には電車の運転手や、産業道路を車で走り続ける夫婦が登場します。
函館の街は、車道の真ん中を路面電車が走ります。
路面電車の終点「湯の川」からは、車の行き来が激しい産業道路が大きな半円を描いて延びています。
小説では電車や車に乗った視点で、街の個性を映し出しています。
それは、電車の速すぎない慎重なスピードだったり。
産業道路を探し物を求めてひた走る疾走感だったり。
歩いている時にはわからない見方で街を見てるのですね。
映画なら、さらに他の角度からも街を見る視線を取り入れられるかもしれません。

2009年07月24日
大きなスケールと小さな表情
わかっていても、毎回はじまりのシーンのキラキラから主題歌へ移る瞬間は体が震えるような感覚を覚えます。
光と、炎と、水が効果的。
特に水は、水面に映る姿やフラッグダンス、放水して浮かび上がる光の映像・・・多彩な使われ方に感動です。
我々が作る映画は、このスケール感もありつつ。
ちょっとしたしぐさや表情などでも感情を揺さぶりたいものです。
それこそが映画にこそできる表現方法です。
本日の北海道新聞函館版の夕刊「みなみ風」に、脚本完成の記事を掲載していただきました。
そしてこのブログのアドレスも!
たくさんの方々に興味を持ってもらえますように。
